
ここではジーンズの染めについて説明します
ジーンズはインディゴで染められたデニム生地を使うのが通常です(カラーデニムなどもありますが、今回は省きます)。
インディゴとは藍色の染料のことであり、主にアブラナ科タイセイ属の植物やコマツナギ属の植物から採取されます。有名なのはインド藍です。タイセイやインド藍はヨーロッパから広まり、最初はタイセイが染色、インド藍が薬などの貴重品として扱われていました。インド藍が染料として使われるようになったのは16世紀以降のことです。
藍染めには大きく分けて、生葉染め、沈殿藍染め、すくも染めの3つがあります。ヨーロッパでインド藍の染色に使われたのは沈殿藍染めでした。沈殿藍染めとは、葉を水につけたままにして成分であるインジカンを抽出し、石灰をつかいアルカリ性にしてインディゴを作ります。不溶性のインディゴは放置すると下に溜まっていくので、上澄み液を除くと完成です。沈殿藍染めは日本では沖縄で古来からリュウキュウアイを使い行われてきた方法でもあります。
生葉染めは一番簡単なインディゴ抽出方法で、生葉をすりつぶして液を抽出するだけです。ただし、この方法は藍が生育されている期間のみとなります。デメリットとしては、そのままでは木綿などタンパク質を含まない綿を染色できない、濃い色にならない、などがあります。
すくも染めは、2世紀ごろ中国から伝わり、日本で古来から行われてきた染色方法で、使われる藍は徳島の蓼藍が有名です。すくもは藍を刈り取った後乾燥させ、寝かせたり、水をかけたり、ふとんを着せたりして発酵させます。そうして固めたものがすくも玉です。
すくも染めの天然灰汁発酵建てはその手間と時間がかかることから大変高価なものとなって、染められた製品が少ないことも事実です。藍を建てるのに日本酒や灰汁を使わず、化学薬品を使って建てる方法もあります。(建てるとは、藍を染められる状態にすること)
ジーンズではこれらの天然藍染めよりも、合成インディゴを使った染め方が主流です。合成インディゴは分子構造が天然藍よりも小さく染まりやすく、不純物が少ないのでより際立ったブルーが表現されます。この合成インディゴの染料を槽にいれ、ロープ状に硬く撚られた状態でくぐらせると、表面が染まり、中心が白いジーンズ特有のデニムが出来上がります。
一方で、天然藍でかせ染めといった方法で染めたジーンズも存在します。これは、藍が入った桶にかせ状にした糸をつけたり空気に触れさせ酸化を繰り返すことにより、徐々に藍色にする染め方です。天然藍は不純物が多く分子が大きいので染まりにくく、何回も浸ける必要があるので、この糸は中心まで染まり、色落ちは普通のジーンズと違い、青がにじむように色落ちしていきます。